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原田裕規「心霊写真/マツド」

会場:山下ビル
会期:2018年7月1日(日)-8月5日(日)
時間:13:00-19:00
開廊:金・土・日曜日

※2018年7月1日(日)17時30分より、ささやかなオープニングパーティーを行います

トークイベント:
副田一穂(愛知県美術館学芸員)☓ 原田裕規(美術家)
2018年7月15日(日)17:30-19:00
先着30名・予約不要、料金500円

 

美術家・原田裕規による「心霊写真/マツド」展を開催いたします。
原田は、2018年4月に東京・Kanzan Galleryで「心霊写真/ニュージャージー」展を開催し、大きな話題を集めました。本展はその続編に位置付けられるもので、原田が居住していた「マツド(千葉県松戸市)」をテーマにした新作や、4月の展覧会で議論を呼んだ「写真の山」を再インストールして展示いたします。

原田が心霊写真のプロジェクトに着手したのは2012年のことでした。当時在学していた武蔵野美術大学の友人・榮龍太朗との共同企画による「心霊写真」展(22:00画廊)に始まり、2017年にソロで企画した「作者不詳 #1」展(CAGE GALLERY)、2018年の個展「心霊写真/ニュージャージー」(Kanzan Gallery)など、およそ6年間にわたりこのプロジェクトを継続しています。

2017年以降は、産廃業者や古物商らとともに写真捜索の活動を始めました。2018年4月時点で1万枚弱を数えた写真の山は、現在進行系でその規模を拡大させ続けています。
これらの写真は、そのほとんどがいつ・誰によって撮られたか分からないものです。それゆえに、展示空間はまるで数千人もの不詳のカメラマンたちのグループ・ショーのように、物理的なキャパシティを超えた膨大な他者たち(=心霊)が召喚されているかのような錯覚を覚えることになるかもしれません。

それに対して「/」で区切られた「マツド編」では、原田が2013年4月から2018年6月(展覧会が始まるちょうど前日)まで暮らした千葉県松戸市で撮影した写真を「みずから発見した写真 found-photo」と思い込み、自らが撮影した写真に向けられる愛着を疑い、架空の撮影者の気持ちを想像して書いた手紙を添えることによって、新しい「心霊写真」をつくり出すことが目指されます。そして、展覧会タイトルにもなっている「マツド」をテーマにした新作は、マルチプル(ed. 10)として会場で展示・販売される予定です。

原田の手掛けるプロジェクトには、作品展示のみならず、議論喚起も重要な要素に含まれています。それを証明するかのように、過去にも心霊写真のプロジェクトからは多くの批評や議論が派生してきました。そして本展では、会期中に愛知県美術館学芸員の副田一穂氏をお迎えして原田と対談を行い、「写真」の問題系に留まらないより広範な射程に向けて議論を拡張していくことが目指されています。

本展は、東京都外では初となる「心霊写真プロジェクト」の公開となります。
問題提起する美術家・原田裕規による注目のプロジェクトの最新版を、この機会にぜひお見逃しなく、みなさまご高覧ください。

 


 

略歴

原田裕規 はらだ・ゆうき
1989年、山口県生まれ。美術家。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。
社会の中で取るに足らないとされている「にもかかわらず」広く認知されているモチーフを取り上げ、議論喚起型の問題を提起する作品で知られる。作品の形態は絵画、写真、インスタレーションなどに加えて、キュレーション、テキストライティング、書籍製作など幅広い。代表的なプロジェクトに「ラッセン」や「心霊写真」を扱ったものがある。主な著作に『ラッセンとは何だったのか?』(フィルムアート社、2013 年)など。

副田一穂 そえだ・かずほ
1982年、福岡県生まれ。 愛知県美術館学芸員。